第61期生入学式にて
第五代校長 安積力也(あづみ りきや)
2008年4月就任
元 日本聾話学校校長
前 恵泉女学園中学高等学校校長
 創立以来の長い歴史を通して、本校独特の教育の在り方が培われてきました。沿革に記されているように、創立者鈴木弼美(すずきすけよし)は、第二次世界大戦中に世の流れに抗して非戦平和主義をつらぬき、友人渡部弥一郎(わたなべやいちろう)氏と共に8ヶ月獄中の苦労をしています。敗戦後、新制高校として再出発してからは、受験準備教育に抗して、学問の基本となるものを学び、社会と人生について深く考える人間を育てるという、「本来の高校教育の目指すべきもの」を求めて歩んでまいりました。
 本校の教育が目指すものとして、次の諸点をあげることが出来ます。

(1)神を畏れる人を育てる
 本校の指針として、創立者鈴木弼美は、「主を畏るるは学問のはじめ」(箴言1:7)という聖書の言葉を挙げています。主なる神を畏れ、敬い、愛する者として育ってほしい、見えない神を畏れ、人が見ていても見ていなくても、正直に生きる人になってほしい、ということであります。
 神を畏れることは、われらの目をよく見えるようにし、学ぶことへの熱意をも生みます。われわれの一生が、学びつづける生涯でありたいと思います。
  「神を畏れて、人を恐れず」、そして「生涯学びつつ生きる者」となるための土台作りを、この学園でやって欲しい、と願っています。
ヘブライ語は右から左に読みます
本校講堂に書かれた文字(右側は同意のヘブライ語)
(2)自ら学ぶ人(自学の人)を育てる
 高校の時期は、知的訓練をするのに大切な時期にあります。各教科の学びに積極的に取り組み、学ぶ喜びを育て、レポートや論文の作成、発表などにも意欲的に努力するように、と願って指導に当たっています。学ぶことは、何よりも内発的に自分からするものであります。この学園で学ぶ人には、自学・自習の熱心さを求めます。
(3)自主・自治の力を養う
 本校では、自ら考え、自主的判断力を持って行動できる人間になれるように、クラス、学校、寮において、いろいろの役割を分担し合います。また、学校の行事や寮の生活において、いろいろなリーダーの役割をみんなが交代して受け持ちます。
 このような体験を重ねて、いろいろの見方、幅広い考え方、行動力、実践力を養っています。学園の運営も、職員と生徒が協力して行い、自分たちの生活を自分たちで整えて行く「自治」の力を養って行くことを、大きな目標にしています。自分たちの生活を自ら整えることが、人生の土台を築き、学ぶことの土台となるのです。
(4)働くことの好きな人を育てる 思わず笑顔が出ています
 汗を流して働くことの尊さと喜びを知ることは、人間形成の大切な土台です。本校の生活では、いろいろな労働作業をすることが、大きな位置を占めています。野菜を育て、家畜の世話をすることなどを通して、生命あるもの、また人に対してのやさしさを持つ心を育てます。
 運動、作業、健全な食生活、規則的な生活を通して、健康をはぐくむ努力をします。
男性も炊事をします 完全無農薬で栽培します
炊事風景 園芸部の大根の芽 子牛に哺乳中
(5)大自然に学び、感受性を豊かにする 一本松中腹からの景色 味は絶品です
 恵まれた自然が残されているこの叶水の大地が、生徒たちの学ぶ舞台です。畑、水田、周辺の山々や川など、学ぶべきものが限りなくあります。まず、身近な自然から学ぶことを大切にしています。
 人間にとって、「知る」ことと同じように、「感じる」ことが重要です。そのために、合唱や音楽などの芸術活動とともに、労働、田植・稲刈期などの農繁期のボランティア活動などの体験学習を重視しています。キャンプや登山などで、繊細で、雄大な自然にふれることが生徒たちの感受性を深く豊かに養っています。
猿鼻山とツリーハウス 裏山でとれた椎茸
(6)非戦平和への不屈の意志と国際性を育てる ネイティヴスピーカーによる英会話の授業
 平和主義に立つ学園として、憲法勉強会等、戦争と平和に関する深く広い学びをします。韓国に姉妹校を持ち、多くの生徒が韓国語を学んでいます。英語のネイティヴスピーカーと共に生活しています。身近な所から、平和をつくる心を養い、他の国の人たちと尊敬をもって交わる態度を養っています。
英会話の授業中
(7)「共に生きる」人を育てる
 生徒全員がともに寮生活を営んでおり、また学園全体が「共同体」として生活することを目ざしています。三年生の、福祉の授業では老保健施設「温身の郷(ぬくみのさと)」と特別養護老人ホーム「さいわい荘」で奉仕実習をして、ご老人の方々から多くを教えていただいています。また農繁作業をとおして地域の方々からも多くを教えていただいています。
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